桐生工業高校 塩尻昌千監督「緊張感の中で“楽しんで”ほしい」

塩尻昌千監督「緊張感の中で“楽しんで”ほしい」

桐生工業を率いているの塩尻昌千監督。生徒たちに忍耐や継続の大切さを伝え、将来にも活きる“考える野球”の浸透を図っている。悪天候で再戦となった試合を印象に挙げながら、生徒たちへの想いを語った。

印象深い21年、桐生第一との再試合

前監督が転勤になったのでチームを見ることになりました。当時も3年生と2年生で部員がなくて14人ぐらいからスタートですかね。その中で3年生になっても、レギュラーとして出られない選手もいた。そこからの始まりでした。

約9年ほど続ける中で、中学生の時点で野球が上手いと感じられる生徒や運動能力が高い生徒が来てくれるなどありました。

全体的に部員の人数が増えているわけではない感じはします。ただ、やる以上はうまくなろう・勝とうといった話はずっとしてきました。当初は本当に人数が少ない中で、練習試合の数も今と同じぐらいやってましたので、すごく頑張ってくれたなと思っています。

最近で印象に残っているのは、2021年の夏の大会で桐生第一高校さんと初戦をやって、その時に2ー2でずっと競っていたのですが雷が落ちてきて再試合になった時です。

我々は全力を尽くしていって抑えてきましたけども、再試合になると相手はほぼ全員選手を入れ替えて臨んできました。ウチは同じメンバーで戦っていたので、もしあのまま試合ができてれば勝てたかもしれないと思ったりはしましたね。

緊張感を通じて“楽しむ”

私は昭和の人間なので、忍耐・我慢・継続といった言葉が頭の中にあるのですが、社会に出たときなどに『あの時は頑張った』というのが生徒たちの印象に残ってくれることが一番いいのかと思います。

あとは小学生の時から親御さんが一生懸命面倒を見てくれて、中学・高校と朝早くから夜遅くまでずっと野球をやって、おそらくこれが最後になると思うんですね。 こんなに緊張してやる野球なんて。

その緊張感の中で、自分の思ったようなパフォーマンスができて初めて楽しいと思える。 それでなおかつ勝てればもっと楽しくなる。“楽しい”と言うのはニコニコするから楽しいという意味ではなく、そういった意味だと私はそう感じています。

チーム全体として言えば、教えたこと以外で自分たちで考えて何か取り組むことができればもっと伸びていきます。 “考える野球”もしくは“考えた人生”を送ってほしい思いながら指導していますよ。