球心会・王貞治代表が『球都桐生ウィーク』に来場しました!

2025年8月26日、『一般財団法人 球心会』の王貞治代表らが球都桐生ウィークに来場しました。
王代表らは球都桐生ゆかりの地を約5時間かけて回り、「桐生だけではなく、日本野球の可能性を感じた」と桐生が放つ野球熱を体感いただきました。
高校時代の思い出として残る桐生、そして稲川東一郎監督との縁
王代表は新桐生駅の2番ホームに降り立つと、野球場を模した一帯を視察します。1945年11月24日に行われた「全(オール)桐生」がプロ野球東軍に勝利したスコアが記されたエリアを見た際には、その舞台であった新川球場にまつわる話題に。
というのも王代表が早稲田実業高1年だった1956年6月9日、ここ新川球場で行われた桐生高との試合で登板した記録が残っています。


当時のことを鮮明に覚えているという王代表は、桐生高の稲川東一郎監督のことを真っ先に挙げました。
「新川球場でやりましたよ。桐生には熱血監督の稲川さんがいてね、ウチ(早実)の総監督と稲川さんが親しくてよく交流試合をやったんですよ。(稲川監督が)“親父さん”ってよく言われていたのを覚えています」


六大学野球教室ではグラウンドで視察も
続いて小倉クラッチ・スタジア厶へと訪問し、球都桐生プロジェクトの取り組みや実施に至った背景などの説明を受けました。共感そして感銘を受けた王代表は、
「交流の場が広がりますからね。桐生で野球と言ったら一番に頭に浮かぶスポーツだし、歴史もあるからね。みんながいいアイデアを出して良くなっていけば。他でも参考にするところは出てくる。
これを続けることが何よりも大切ですよ。継続していけばまたアイデアが出てくるし、もっと輪が広がっていきますからね」


その後はグラウンドへ出て、ちょうど行われていた慶應義塾大野球部による野球教室の模様をチェック。
グラウンドが最も似合う野球人の登場に雰囲気は一変して学生たちもやや緊張気味でしたが、教えを受けていた中学生たちがロングティーで快音を響かせると、王代表も笑顔を見せました。


桐南ポニーの選手たちへ激励のメッセージ
高校時代の思い出残る新川球場跡地を巡った後、終着点であるKIRINAN BASEへ。現役時代の“一本足打法”などをシルエットに描いた手作りの装飾で迎えられると、まずは球都桐生野球ラボへと足を運びました。
数々の測定機器が整備され、科学的根拠に基づいた先進的なトレーニング環境の揃ったラボを見て、
「目標も立てやすくなるし、選手たちが自然と上手くなれるような環境がありますね。野球界の将来が楽しみだなと思いましたよ」
と絶賛した王代表。続けて桐南ポニーの選手測定もチェックしました。


そしてグラウンドでは、桐南ポニー全員に向けて心奮うメッセージが贈られます。
「今は結果のことは考えなくていいからね。できないことを“できるようになるんだ”という気持ちでやってくれればいい。“必ずできるようになるんだ”というそういう想いを持ってやろう」
さらに続けて、野球人としての心構えが選手たちへ届けられました。
「キャッチボールをしっかりできるようになろう。野球は打つ・守るとあるけれども、まずしっかり相手の胸に投げること。
肩や肘の関節をうまく使えばそんなに力入れなくてもいいボールを投げられる。腕の力だけで投げようとすると、“投げてみないと分からない”ボールが行ってしまう。
基本が大事だからね。いきなりは上手くならないし、少しずつやっていくうちに上手くなっていく。でも君たちは絶対上手くなれるよ。
みんなが羨ましいと思ってもらえる環境があって、熱心に教えてくれる人がいて、みんなが支えてくれているから。絶対上手くなれることを信じて頑張ってください。みんなが甲子園に出てくれることを楽しみにしているからね」
これらの金言を一人ひとりが心に刻み、ナインはグラウンドに戻り再び白球を一層熱心に追いかけました。


「私からも桐生の野球を伝えていきたい」
視察の最後は「球都桐生歴史館」。3日前にオープンを果たし、新しい壁と芝の香り漂う館内を回りました。
稲川東一郎監督が記したスコアブックを見た際、60年以上前から相手チームの偵察を行う“先乗りスコアラー”を派遣していたエピソードを聞くと、「プロでも当時なかったのではないか」と驚きの表情も見せました。
早実・王選手が登板したあの6月9日のスコアブックも展示されており、その記録を振り返ると「ヒットを打っててほっとしました(笑)」と安堵の様子も。
100年近く前から大切に保管されてきた歴史品の数々を見て、球都桐生の大きな可能性を語りました。


「昔のが残っているのは嬉しいですよね。それだけ歴史を大事にしていることだと思います。だからこそ若い人たちも受け継いでいくのだと思うし、桐生の野球の歴史がますますしっかりした形になって伝えられていくんじゃないかと思いますよ」
そして、新川球場の大きなパネルにサインを記します。その位置は、自身が実際に立ったマウンドの場所でもありました。


視察を終えた王代表は、約5時間にわたる視察をこのように振り返りました。
「高校時代に桐生へ来ているので、懐かしいお話もたくさん聞けました。桐生の野球熱は本当にすごいなと。この野球熱というのは、桐生の野球を支えるだけじゃなくて、日本の野球を支えていく可能性を感じています。
選手たちの意識たちも違っていて、自分の意思で野球をやっているのが明確ですから。ただ言われてやるだけはでなく、自分の意思で『こうするんだ!』『こうやるんだ!』というのが伝わってきました。
目がギラギラしていますし、この暑い夏の中でやるにはあれくらいの想いでやらないきゃ続かないし、上手にならないですよね。日本が発展する上で欠かせない中学野球のお手本になるのではないかな」
球都桐生プロジェクトについての説明も受けた王代表。野球のまち・桐生の魅力について感じたことを最後に熱く語っていただきました。
「今までいろいろなところ行きましたけども、組織で一体となってしっかりと取り組んでいるのは初めてです。行政や地元の企業などが一つになってやっている。
それも皆さんがね、地元のため・子どもたちのためにとやっているので、すごく素晴らしいことです。これだったら地域みんなが応援してくれますよ。
これを一つの手本として他の地域にも広がってくれたらと思いますし、やっぱりいいものは流行しないとね。もっともっと広がってほしいと思います。
今日はとてもいい勉強をさせてもらいました。私からも発信して日本人の子どもたちや背負う大人たちに、桐生の野球の今というのを伝えていきたいです」
“世界の王”による桐生の来場には行く所全てで興奮と感動が湧き起こり、球都桐生の誇りがまた一つ増えた日となりました。