清桜高校 森山弘監督 両校を知るからこそ抱く使命感

清桜高校 森山弘監督 両校を知るからこそ抱く使命感

21年に桐生南高校と桐生西高校が一つになり開校した清桜高校。その初代監督として今も采配を振るっているのが森山弘監督である。

森山監督は高校時代は桐生南高校で活躍し、閉校まで桐生西の監督も務めていた。両校を知る指揮官は、それぞれ培った伝統と絆を活かしながら一つにすることを使命に抱き、新たな歴史を今も刻んでいる。

「桐南と桐西のみんなに喜んでもらうのが使命」

私は桐南のOBでもありますし、桐西で監督としてやっていました。ですので、両方のOBが喜んでくれるような成績を残さないといけないのが使命です。勝つことでOBの気持ちも1つになるし、地域も盛り上がりますので。

特に桐生は“球都”と呼ばれる野球どころです。小さい時からたくさんの人に知られていたり、関わりのある人たちがたくさんいる選手たちなので、『彼は今こうなっているんだ』『すごい上達したな』などと見てもらえたらとても嬉しいし、本人たちの励みにもなります。

恩返しっていうのも何ですが、これまで頑張ってきた姿を見せることで地域の人たちにも喜んでもらえると思いますので、そう思ってもらえるように私も日々取り組んでいます。

両校のOB会と一緒になって帯を1つにしていく、これももう一つの使命です。 清桜高校でも卒業生がもっと出て、年齢を重ねていけば野球部にOB会も立ち上がってくると思うので、基礎づくりができればとも考えています。

開校から5年間やってきて形になりつつあると思いますので、あとは勝つことが一番だと思うんですよね。勝って球場にたくさん足を運んでもらって、そうすると学校も盛り上がっていきますから。

自身に課した使命を語った

日体大で選手を断念し、気づいたこと

私は桐生南小学校の4年生で野球を始めました。町内でみんなで野球をしてて、その南地区の中でセレクションのような形である程度上手くないと入れなくて、そこに4年生で入れたのが一番最初です。

桐生南中学に進む時は、その時のチームのメンバーがほぼ入ってすごく強かった。桐生市で何年ぶりかの春夏優勝して県大会にも行きました。それで桐高や(桐生)工業や商業など分散したけども、みんな各校で中心メンバーとして活躍していましたね。

私は桐南に進んだのですが、実は高校行ったらラグビーをやろうと思ったんですよ。山口良治先生ってあの「スクールウォーズ」のモデルになった方が桐生に講演に来てくださって、その影響を受けて『俺はラグビーやって日体大に行って、体育の先生だ!』って思ってたんです。

でも、桐南にはラグビー部がなかった。日体大には行くことができてラグビーやりたいと思ったのですが、これまでやったことないのにいきなりラグビーというのもね…ということで野球を続けました。

いざ入ると同級生が140人ぐらいいて、全学年で400人ほどいるっていう野球部でした。桐南では同級生4人でしたから。そんなところから一気に同級生だけでも140人にいた野球部に入って、本当はわけもわからず野球をやってた感じです。

私は2年で選手を辞めました。結局通り過ぎていろいろ気づいたのですが、自分で諦めちゃったんですよね。

自分で頑張って努力していれば違ったかもしれないなど、できなくなってからやっぱり思いますよね。  自分がその真っ只中にいると、気づかなかったです。

なので自分の息子たちにも『やりたくてもできなくなるから、やれるうちは一生懸命にやりな』と、小さい時から言っていました。息子たちは今東京で頑張ってて、大会で優勝したりもしているので嬉しいですよね。

清桜開校後、初めて大学野球部員が誕生

私の経験もあって、生徒たちにもできる限り長く野球を続けてほしいです。試合出る出ない以外にもそこで学べることはすごく多いですし、より上のカテゴリーに行けるのであればそれを体験してほしいなと。

その時しかできないものなのでね。 みんな大学進学希望なので、アルバイトしながら大学野球生活を送るであったり、サークル活動するのも楽しいと思いますから。

昨年の3年生では3人、清桜になって初めて大学の野球部に進んでくれました。キャプテンをやっていた田中奏多が共栄大学に、4番の井手晃幹が新潟医療福祉大、あとは1年生の時からレギュラーでセンターだった塩野響が高千穂大学で今もプレーしています。

今季、清桜高校から大学野球部員を輩出した

すごく嬉しいですよね。  彼らがまたは夏休みにでも帰ってきて、今の選手たちと一緒に練習してくれたりってなってくると、また下の子たちが入ってくる流れができていきます、

私が桐南に入った時は上にも下にも大学で野球を続けた人が全然いなかったんです。僕が始めたことで、やっぱり下の子たちも桐南の野球部に入ってくれたし、徐々に歴史が続いていった。

そうするといろいろなことが変わってくるんですよね。 なので清桜でもそういった文化を作りたいんです。

直近4大会は全て1点差の試合に

印象に残っているものと言うと、去年(24年)の春からずっと1点差負けなんですよ。 去年の春・夏、新チームになってからの秋、それでこの春まで4大会全部1点差。

特に(24年9月の)伊勢崎清明相手では8回に3点差つけられて厳しいかなと思ったら、 1点差まで迫ってさらにツーアウト満塁っていう場面で逆転サヨナラもありうる場面まで行ったんです。

しかもライト後方に大きな打球が上がったのですが、それを背走しながらキャッチされるファインプレーで終わってしまった。

といった紙一重の試合が続いているのですが、清桜高校になってまだ公式戦で一回しか勝ってないんですよ。ここで勝ち上がって行ったら 一皮も二皮もむけてくるんだろうなぁという可能性をすごく感じていて。

なので、桐生の皆さんにそういった可能性を一緒に感じてもらいたいです。元気と自信を持って全力でやってる姿を注目してもらえたらありがたいです。