今泉壮介監督 原点となった高校生活とコロナ禍で培われた団結力

桐生そして群馬県で唯一甲子園での全国制覇を成し遂げているのが桐生第一高。現在指揮官を務めているのが今泉壮介監督であり、就任してもうすぐ7年を迎えようとしている。
高校時代は1997年までこの桐一で過ごし、99年全国制覇への礎を築いた一人。2008年にコーチとして母校に帰還すると、部長を経て25年現在まで17年間ユニフォームを着続けている。
ここで今泉監督は、現役時代を過ごした3年間やコロナ禍の苦労、そして自身の下で鍛錬を重ねた生徒に寄せる想いを語った。
学生時代は「精神力が鍛えられた」3年間に
最初は学童のチームに入って野球を始めたんですけども、一度サッカーに移ったんですよ。でもずっと走ったりしててキツイなと思って(笑)。それで野球に戻りました。中学校で軟式野球部に入って、桐生第一高校に進みました。
入った時は衝撃的でしたね。『ここでやっていけるのかな…』って感じましたし、厳しいなと思いました。
同学年の力もそうですし練習内容もすごく厳しかったので、『ここで本当3年間やっていけるんだろうか』という不安しかなかったです。ですので、3年間で精神力はすごく鍛えられたと思います。
今では監督という立場になりましたが、生徒たちにはこの3年間でしかできないことだったり、経験した中でいいと思ったことを当時と同じように伝えています。
もし、『もっとこうした方がいいな』と思った部分は表現を変えて伝えるようにしているので、自分が学生として過ごした3年間も活かせていますね。
コロナ禍で悩んだ先に再びチームが一つに
2020年にセンバツ出場を決めていましたがコロナで中止になり、さらに夏の選手権も中止になるという今までになかったことが起きてしまった。そこがやはり一番強く印象に残っています。
私自身も経験したことないですから当然選手たちも経験したことがなくて、目標を失うことの辛さ。また、目標を持つことの大切さを痛感させられたと同時に、どこにこの思いをぶつけていいのかと葛藤していました。
どうすることもできないこの現実を目の当たりにした時、どう声をかけていいのかであったり、ここからどう進んでいけばいいのかをすごく迷いました。
ただ、みんなで前を向いていくしかなかったので、私や選手同士でもミーティングを重ねて、この先どうやっていくかを話し合っていきましたね。
多く方のご支援とご協力があって地区大会が開催されることが決まってからは、とにかく最後まで3年生全員でやり切ろうという想いがすごく強くなって、もう一度そこで一致団結できたと感じました。

社会に貢献できる人になってほしい
目標としては、甲子園出場と二度目の全国制覇を常に目指しています。あとは『地域から応援されるチームになろう』というのを掲げていて、人間的にも成長していくことを大切にしています。
地域の方々は練習してる姿は見ていませんので、日頃の行いですね。自転車や電車でのマナーを意識することや、地域の清掃活動にも参加しているので、これらの活動を継続することで応援してくださる方が増えていくと考えています。あとは勝ち進むことですね。
生徒たちには少しでも長く野球を続けてほしい想いが一番ですが、必ず野球を辞める時が来ます。なので人として、自分自身がどういう人間になれるかが大事です。
将来社会に羽ばたいてから人のためだったり、自分のためといった、“どのように社会貢献できるか”が大事だと思ってます。ですので、そういった点をこの3年間で少しでも伝えていけたらと思っています。